2019ル・マン24時間レース - イベント・レースレポート

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2019ル・マン24時間レース

2019年6月20日 更新

ル・マン24時間レース、優勝のトヨタがシリーズタイトル獲得!

レース中、大きな天候の崩れもなく、また24時間を通して比較的穏やかな気温に恵まれた今年のル・マン。レース序盤からトヨタTS050ハイブリッドの2台がレースを牽引し、中でもポールスタートの7号車が快走を見せていた。
 

昨年、念願の総合優勝を果たした8号車に続き、今年は8号車が勝利し、7号車が2位でチェッカーを受けることになれば、7号車は2018−19年と年をまたいで開催される「スーパーシーズン」初のシリーズチャンピオンを手にすることができる。…トヨタ陣営はおそらくこのような展開の実現を願っていただろう、だがしかし、無情にもル・マンの勝利の女神は実に冷酷で最後の最後に大きな山場を残し、弄んだ。
 

開始から22時間が経過、ル・マンも日曜の午後1時を迎えていた。僚友8号車に対し、1周近いマージンを築いていた7号車が緊急ピットイン。ルーティンのピットインからわずかの周回で再び帰還。ドライバーも小林可夢偉からホセ−マリア・ロペスへと交代する。その後、8号車が予定に沿ったピットインをした結果、2台の差が1分16秒強まで縮まった。さらにその後、残り時間1時間目前になって、ルーティンのピットワークを終えて間もない7号車が右前のタイヤをパンクさせ、イレギュラーのピットインを強いられた。さらにコース復帰後はペースが上がらずまたもピットへ。この再三に渡るイレギュラーな作業が引き金となり、残り時間1時間を切る368周目のフォードシケインで、とうとう8号車に首位の座を明け渡してしまった。
 

最終的に4本すべてのタイヤを交換した7号車。総合2位となり、トップ8号車との間に出来た58秒強の差をなんとか詰めようと、ハイペースでの周回が始まった。だが、互いに譲らない2台の差は縮まるものの逆転までには至らず。午後3時を過ぎ、24時間のタフな戦いを真っ先に終えたのは、中嶋一貴が駆る8号車となった。8号車はル・マンを2連覇。併せてシリーズチャンピオンの座も手にしている。
 

LMP2は36号車が順調極まりない走りで後続を寄せ付けず。早い時点から2位と1周の差を持続させ、完璧のレース運びを遂行。そのままチェッカーを受けた。
 

GTクラスはプロ、アマともに終始激しいポジション争いを展開。その中で、様々なトラブルをものともせず激しい戦いを勝ち抜いたのは、プロクラスが51号車のフェラーリ、アマクラスは85号車のフォードだった。
 

◎ル・マン24時間レース決勝結果(総合トップ3および各クラストップ)
<LMP1>
1.No.8 トヨタTS050ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ)385周
2.No.7 トヨタTS050ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス)385周.
3.No.11 SMPレーシング(V.ペトロフ/M.アレシン/S.バンドーン)379周
 

<LMP2>
No.36 シグナテック・アルピーヌ・マットムート(N.ラピエール/A.ネグラオ/P.ティリエ)368周
 

<GTE Pro>
NO.51 AFコルセ(A.ピエール・グイディ/J.カラド/D.セラ)342周
 

<GTE Am>
No.85 キーティング・モータースポーツ(B.キーティング/J.ブリークモレン/F.フラガ)334周
 

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2019年6月20日 更新

18時間を経過したル・マン24時間。トップは7号車がキープ!

降ると言われながら大きな天候の崩れもなく、安定したコンディションに恵まれているル・マン24時間レース。夜明けを迎える頃になっても大きく気温が下がることもなく、比較的穏やかな状況のようだ。
 

トップ争いは依然として7、8号車のトヨタが続けているが、他車のアクシデントによるセーフティカーランの間に各車が採った戦略によって微妙な差が発生。結果、ちょっとしたタイミングの違いで7号車が8号車に対して”目に見える”差を構築することとなった。14時間を経過した時点で2台の差は1分15秒強となり、その後もほぼ変わらぬ差での周回が続いている。
 

LMP2クラスは長らくトップでレースをリードしていた26号車にトラブルが発生。それまでの間36号車との緊迫の争いが途切れることとなった。なお、26号車はガレージ内での修復作業に入っており、大きくポジションを落としている。
 

18時間後、残り6時間になっても変わらぬバトルを繰り返しているのが、GTEプロクラス。なにか変化があるとすれば、SC導入などの”外的要因”の影響に留まるほど、大半の車両が拮抗した戦いを見せている。51号車フェラーリを筆頭に、93号車ポルシェ、91号車ポルシェと続き、63号車コルベットと都度ポジションを入れ替えてトップ争いをしている。一方、出遅れたのが12時間経過時点でクラスをリードしていた92号車ポルシェ。エキゾーストトラブルでピット内での修復時間を要し、ポジションを大きく下げてしまった。結果、18時間を経過したタイミングでレースをリードしているのは、63号車となっている。
 

プロクラス同様、アマクラスも緊迫の戦いを続けている。その中で不動のトップを走るのは、85号車フォード。すでに2番手との差を2分以上に広がった。これを追うのは56号車ポルシェ、84号車フェラーリと、異なる車種が表彰台争いを繰り広げている。
 

なお、日本人ドライバーを擁するチームでは、クラスポールからスタートを切った88号車が走行中の衝突によりリタイヤに終わっているが、18時間を過ぎ、ル・マン初参戦の57号車フェラーリはクラス7位を、また2度目のル・マン参戦となる70号車フェラーリが同12位を走行中だ。
 

◎ル・マン24時間レース途中結果(9時・18時間経過/総合トップ3および各クラストップ)
<LMP1>
1.No.7 トヨタ・ガズー・レーシング(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス)286周
2.No.8 トヨタ・ガズー・レーシング(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ)286周
3.No.11 SMPレーシング(V.ペトロフ/M.アレシン/S.バンドーン)282周
 

<LMP2>
No.26 Gドライブレーシング(R.ルシノフ/J.バン・ウィタート/J-E.ベルニュ)274周
 

<LMGTE Pro>
No.63 コルベットレーシング(J.マグヌッセン/A.ガルシア/M.ロッケンフェラー)254周
 

<LMGTE AM>
No.85 キーティング・モータースポーツ(B.キーティング/J.ブリークモレン/F.フラガ)249周
 

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2019年6月20日 更新

ル・マン24時間、12時間経過。トヨタの2台が僅差で好走

早いもので、レースの半分を消化した今年のル・マン。レースは開始から7時間半が過ぎたあたりで、一度大きな動きがあった。トップの7号車が安定した走りを見せる中、これを8号車が追う形に変わりはなかったのだが、繰り返されたセーフティカーランの間に2台の差が縮まり、ロペスがドライブしていた7号車がブレーキングミスでミュルサンヌコーナーをオーバーラン。これを8号車の一貴がすかさず仕留め、先行した。だが、その後、ほどなくしてルーティンのピットインが行われたため、再び7号車がトップを奪回している。
 

その後、順調にルーティンワークを重ねていた2台に違いが表れたのは開始10時間過ぎ。8号車がブエミからアロンソに交代する準備をしていながら、ブエミがさらに1スティントを敢行する。一方、この動きを見てか、一方の7号車はコンウェイから可夢偉へとスイッチしたものの、タイヤ交換は行わず。この”時短作業”が奏功し、7号車がトップをキープし、8号車との差を広げる戦略に打って出た。よって、12時間を迎えた時点で2台の差は8.623秒となっている。
 

一方、LMP2クラスは26号車が2位の36号車に1周リードを築いている。さらにバトルが絶え間なく続くGTEプロクラスは92号車のポルシェがリードし、これをわずか2秒238秒差で51号車のフェラーリが猛追中だ。なお、プロクラスは51号車のフェラーリをのぞき、トップ争いは3台のポルシェが激走を続けている。この流れはGTEアマクラスも同様で、85号車と77号車がルーティンワークのたびにポジションを入れ替えてクラストップ争いを展開中だ。
 

◎ル・マン24時間レース途中結果(21時・6時間経過/総合トップ3および各クラストップ)
<LMP1>
1.No.7 トヨタ・ガズー・レーシング(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス)189周
2.No.8 トヨタ・ガズー・レーシング(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ)189周
3.No.3 レベリオン・レーシング(T.ローラン/N.ベルトン/G.メネゼス)187周
 

<LMP2>
No.26 Gドライブレーシング(R.ルシノフ/J.バン・ウィタート/J-E.ベルニュ)181周
 

<LMGTE Pro>
No.92 ポルシェGTチーム(M.クリステンセン/K.エストーレ/L.ファントール)169周
 

<LMGTE AM>
No.85 キーティング・モータースポーツ(B.キーティング/J.ブリークモレン/F.フラガ)165周
 
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2019年6月20日 更新

ル・マン24時間、6時間経過。7号車トヨタがトップをキープ

6月15日、第87回ル・マン24時間耐久レースの決勝が現地時間の午後3時(日本時間午後10時)にスタート。現地は鉛色の雲が一面に広がるあいにくの天気となった。気温20度、路面温度23度の中、モナコのシャルレーヌ公妃がスターターを務め、24時間のレースが幕を開けた。

まず、ポールポジションの7号車はM.コンウェイ、さらに2番手の8号車はS.ブエミがスタートドライバーを担当。混乱のないスタートを切る。最初のルーティンワークはトップの7号車がスタートからわずか10周を終えてのタイミングだったが、これも予定どおり。一方の8号車は1周早い9周終了時点で行い、以後、11周のスティントでピットインを繰り返していった。
 

今回、日本人ドライバーはトヨタの中嶋一貴、小林可夢偉に加え、GTEアマチュアクラスに3名が出走。その中で予選トップのポジションを手に入れていたNo.88 デンプシー-プロトン・レーシングに乗る星野敏は、開始1時間もしないうちに登場。クラストップでコースに向かったが、短時間の間にスピンを重ねるなど初のル・マン参戦の洗礼を受けている。88号車はレース経過6時間を前にして、GTEプロクラスと接触。ポジションを大きく下げてしまった。また、自身2度目のル・マン参戦を迎えた70号車MRレーシングの石川資章はスタートドライバーを担当。その後、2番手のドライバーがタイヤバーストに見舞われたが、最小限のタイムロスに留め、レースを続けている。そして、アジアンル・マンで4連勝を果たし、ル・マン参戦の切符をつかんだ57号車カーガイ・レーシングはクラス8位からスタートを切り、その後も順調に周回を重ねている。
 

なお、現地情報では、スタートから1時間後に雷雨に見舞われるという予報が出ていたが、幸いパラパラと雨になっただけに留まっており、ウェットコンディションでの走行までには至っていない。
 

6時間経過後の総合トップ3、および描くクラストップは以下のとおり。
 

◎ル・マン24時間レース途中結果(21時・6時間経過/総合トップ3および各クラストップ)
<LMP1>
1.No.7 トヨタ・ガズー・レーシング(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス)98周
2.No.8 トヨタ・ガズー・レーシング(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ)98周
3.No.3 レベリオン・レーシング(T.ローラン/N.ベルトン/G.メネゼス)97周
 

<LMP2>
No.36 シグナテック・アルピーヌ・マットムート(N.ラピエール/A.ネグラオ/P.ティリエ)94周
 

<LMGTE Pro>
No.92 ポルシェGTチーム(M.クリステンセン/K.エストーレ/L.ファントール)87周
 

<LMGTE AM>
No.85 キーティング・モータースポーツ(B.キーティング/J.ブリークモレン/F.フラガ)85周

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2019年6月15日 更新

第87回ル・マン24時間、トヨタ7号車がポールポジション!

6月12、13日の両日にわたり第87回ル・マン24時間耐久レースの予選が開催された。
 

<フリー走行および予選1回目>

まず、初日12日は、予選を前に4時間のフリープラクティスが設けられた。午後に入り、雨が激しく降った影響でウェット路面でのスタートとなったが、徐々にコンディションが回復した。
 

午後10時からの予選1回目がスタートする頃にはドライ路面でのアタックが可能に。GAZOO Racingの2台、7号車トヨタTS050ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)および8号車(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組)は良好なコンディションを見極めるかのように、早々にアタックへと突入する。
 

そんな中、2017年の予選でコースレコードとなるトップタイム、3分14秒791をマークしている小林可夢偉が3分17秒161の好タイムをマーク、トップに立つ。これに対し、8号車はアタックのタイミングをうまく確保できず。結果、予選アタックから決勝を意識したセットアップ等の走行にスイッチして周回を重ねた。
 

順調な走り出しとなった7号車だったが、セッション終了まで45分となった時点で思わぬハプニングに遭遇する。最終コーナー近く、フォードシケインを走行中だったコンウェイが、スピンからコース復帰をしようとしていたLMP2クラスの車両と接触。これにより、7号車は左フロントをクラッシュ、ダメージを受けたことで35分ほどの修復作業を余儀なくされた。さらに8号車もGTEクラスの車両とのコンタクトがあり、フロア修復およびフロントノーズ交換の作業を強いられている。なお、この日は暫定トップとなった7号車に対し、8号車は4番手に留まった。
 

<予選2回目>
予選2日目となる13日は、午後7時から2時間、さらに午後10時から2時間の予選が行われ、3度のセッションで最速ラップを刻んだ車両がポールポジションを手にすることになる。
 

この日は初日より快晴に恵まれ、コンディションは安定。前日のアタックではトラフィックによって満足のいくアタックができなかったTOYOTA GAZOO Racingの2台が、早速アタックモードに突入する。最初にタイムを刻んだのは、7号車。前日同様、小林可夢偉がアタックを担当し、3分15秒497をマーク。ベストタイム更新に成功した。一方、8号車には中嶋一貴が乗り込み、アタックを開始。可夢偉のタイムには届かなかったが、3分15秒908をマークして暫定2番手に浮上した。その後、セッション中に赤旗中断も見られたが、TOYOTA GAZOO Racingの2台のポジションに変動はなく、セッションが終了。残るは予選3回目のみとなった。
 

<予選3回目>
いよいよ、最後の予選セッションとなった3回目。午後10時スタートを前に、気温も下がり、タイムアップを狙うには願ってもない好条件が揃った。最高峰のLMP1クラスでも、TOYOTA GAZOO Racingのライバルたちがタイム更新を狙って次々にアタックを開始する。そんな中、トヨタ勢の2台は厳しいトラフィックに遭い、思うようにアタックのタイミングに恵まれない。さらに、他のクラスによる赤旗中断もあるなど、次第にコンディションの確保が難しくなっていく。
 

これにより、TOYOTA GAZOO Racingの2台は惜しくもタイム更新を果たすことなく、全ての予選セッションを終了。結果、予選2回目に刻んだベストタイムによってグリッドが確定した。TOYOTA GAZOO Racingにとっては、3年連続でフロントロウ独占を実現することとなり、また、可夢偉にとっては自身2回目となるポールシッターを実現させることとなった。
 

・第87回ル・マン24時間レース予選順位(LMP1クラスのみ上位3台)

<LMP1>
1.No.7 トヨタ・ガズー・レーシング(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス)3’15.497
2.No.8 トヨタ・ガズー・レーシング(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ)3’15.908
3.No.17 SMPレーシング(S.サラザン/E.オルジェフ/S.シロトキン)3’16.159
 

<LMP2>
1.No.39 グラフ(T.ゴメンディ/V.キャピレー/J.ヒルシ)3’25.073
 
<LMGTE Pro>
1.No.95 アストンマーティン・レーシング(N.ティーム/M.ソーレンセン/D.ターナー)3’48.000
 
<LMGTE AM>
1.No.88 デンプシー-プロトン・レーシング(星野敏/G.ローダ/M.カイローリ)3’51.439
 
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2019年6月15日 更新

2019年 ル・マン24時間レース プレビュー

トヨタ同士のチャンピオン争い、勃発!

 

6月を迎えたフランスは国際的に有名なスポーツイベントの花盛り。まず、テニスの全仏オープンがひと足先に閉幕したが、現在、各地ではFIFA 女子ワールドカップ フランス 2019の真っ只中。日本からは、なでしこジャパンが遠征し、戦いに挑んでいる。そんな中、モータースポーツファンにとって心待ちにしているビッグイベントが間もなく決戦を迎える。そう、ル・マン24時間レースが現地時間15日(土)午後3時(日本時間午後10時)に号砲となる。昨年、悲願のル・マンで勝利したトヨタだが、今年は連覇、そしてチーム同士によるチャンピオン争いが注目を集めている。
 

■初のスーパーシーズン、いよいよ最終章
伝統のル・マン24時間レースが、WEC、世界耐久選手権の一戦に組み込まれたのが2012年。全8もしくは9戦で争う形で6シーズンを経て、2018年からは年をまたいで2019年6月のル・マン24時間を最終戦とする「スーパーシーズン」へと形を変えた。結果、全8戦の中にル・マンが2度(2018、19年)組み込まれるという、変則的なシーズンになっている。
 

新たなシーズンの形で繰り広げられた戦いは、イベントカレンダーだけでなく、参戦する車両にも変化をもたらした。近年のル・マンのトップクラスを長らく牽引してきたアウディが2016年にシリーズから撤退、さらに2017年にはアウディの前に立ちはだかったポルシェも参戦を終了。そして、WEC参戦に代わり、アウディは2017年末から、そしてポルシェは2019年末からフォーミュラEへのファクトリー参戦を開始するなど、自動車メーカーとして次世代のモータリゼーションに沿った活動に舵を切っている。
 

一方、2012年にル・マンを含むWECへの挑戦を再開したトヨタ。同社が開発、製作した初のプロトタイプレーシングカーは、ル・マンに2台エントリーするも、リタイヤという悔しい結果に終わった。以後、アウディを追い、戦い、また、2014年から再び耐久レースに復活したポルシェとの三つ巴のバトルを繰り広げてきた。そして、優勝目前に迫った2016年、ドライブ中の中嶋一貴が無線で「ノーパワー」と放った衝撃の叫びはこれからも語り草となるだろうが、トライ&エラーの積み重ねはついに2018年に報われることとなる。すでにライバルたちがル・マンを去った後ではあったが、ライバル不在の中、”勝って当然”というプレッシャーを跳ね除け、ル・マンで勝利したことには大きな意味があるだろう。
 

そして2018年5月に産声を上げた”スーパーシーズン”。トヨタは、8号車が第2戦ル・マンで勝利したわけだが、その後、第4戦富士、第5戦上海では7号車が、そして第6戦セブリング、第7戦スパ・フランコルシャンは8号車が勝利。いわゆるドライバーズタイトル争いでは、8号車が7号車を大きくリード。日本人ドライバーとして8号車には中嶋が、そして7号車は小林可夢偉が参戦中とあって、今年のル・マンはどちらが勝利するのか、目が離せない。
 

■WECだけれど、ル・マンはル・マン
WECの最高峰クラスのLMP1では、ハイブリッドクラスとハイブリッドを搭載しないノンハイブリッドに二分されている。トヨタ以外のワークスチームが不在であるため、ノンハイブリッドではプライベーター同士が戦いを繰り広げている。とはいえ、本来であれば、メーカーがバチバチとバトルを見せることこそが世界最高峰のレースと言えるのではないだろうか。ということで、どうしても関心が薄らいでいることも否めない。
 

だが、待ってほしい。F1 モナコGP、インディ500と並び「世界三大レース」と呼ばれるル・マン。1923年に「ラッジウィットワース杯24時間耐久グランプリ」として初開催された歴史あるレースは、たとえWECの一戦に含まれようとも、レースファンにとっては、ル・マンは格別、別格のレースイベントでもあるのだ。24時間の戦いを裏で支えるコースのマーシャルはみなボランティア。コース上のコーナーポストでは、三世代に渡って家族がサポートする場所すらある。6月の夏至が迫る週末、年に一度の”お祭り”であることに変わりはないのだ。国内外から集ってくるレースファンもみな同じ。日が暮れ、夜の帳が下り、そして朝日が上がってくるのを心待ちにしながらル・マンを包むクルマのエキゾーストサウンドに心酔しているのだ。
 

クルマの在り方が大きく変わっている今日、この先のル・マンを方向づける発表も控えている。この先のWEC、ル・マンに関するプレス発表の内容も気になるところだが、24時間という長い一日の中で繰り広げられるドラマは、いつの時代もダイナミックなものになることだろう。さて、今年はどんな展開が待ち受けているのだろうか。
 

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