WEC富士、トヨタ7号車が逆境を跳ね除け、今季初勝利達成!
10月14日、静岡・富士スピードウェイにおいてWEC・世界耐久選手権第4戦「6Hours of FUji」の決勝レースが開催された。スタート直前までパラパラと雨が降り、不安定な天候の下での幕開けとなったが、そんな中で7号車のトヨタTS050ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)が待望の今季初勝利を飾っている。
前日の予選では、タイムアタックで最速のアベレージタイムをマークしていた7号車。僚友の8号車(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組)がこれに続き、トヨタの2台がフロントローから揃ってスタートを切るかに思われた。だが、その後、7号車はトラックリミットのペナルティを受けてタイム抹消という思いもしない判定を下される。結果、LMP1クラス最後尾の8番手スタートを強いられ、厳しいレースコンディションになることが予想された。
決勝を迎えた日曜日は早朝から雨が降るぐずついた天候に見舞われる。午前11時からのスタート前には雨は止んでいたものの、路面はまだしっかり濡れた状態で、全車がウェットタイヤを装着してのスタートとなる。そんな中、追い上げ必至の7号車は通常のウェットタイヤに手彫りでさらに溝を加えたタイヤを選択。早めにポジションアップを狙った作戦で勝負に出た。オープニングラップを終えて早くも4番手まで浮上、その勢いでトップ8号車の背後につけたものの、その差がなかなか縮まらない。一方でコース上の雨はだんだん少なくなっていったことから、次のタイヤ交換時に7号車は新たな一手を選択する。それが再び8号車と異なるタイヤを装着して勝負に挑むことだった。結果、リスク覚悟で誰よりもいち早くスリックタイヤをチョイス、のちに8号車はドライング(インターミディエイト)タイヤを選んだが、折しもコース上のアクシデント発生後のセーフティカー中ということもあり、7号車に逆転を許してしまった。
セーフティカーランが終了すると7号車は8号車に対して5秒ほどの差をつけており、そのまま文句なしにトップで周回を重ねていく。その後、ルーティンワークのメニューもイレギュラーな戦略を敢行。このチャレンジがいい流れを呼び込むことに繋がり、その後も7号車がトップでレースを牽引し続けた。終わってみると、トップ7号車と2番手8号車とは11秒4もの大差に。厳しい予選結果から一転、7号車は今シーズン初優勝を達成。7号車ドライバーのひとり、小林可夢偉にとっては2016年富士戦以来となるWECでの優勝だった。また、トヨタにとっては第2戦ル・マン24時間レースに続いての勝利となっている。
■WEC第4戦富士・予選結果(各クラスTOP3)
・LMP1
1.No.7 トヨタTS050ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)6:00:21.800 230L
2.No.8 トヨタTS050ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ組)+11.440
3.No.1 レベリオンR13・ギブソン(A.ロッテラー/N.ジャニ/B.セナ組)4Laps
・LMP2
1.No.37 オレカ07・ギブソン(J.ジャファー/W.タン/N.ジェフリ組)217L
2.No.38 オレカ07・ギブソン(H-P.タン/G.オブリ/S.リケルミ組)+26.087
1.No.36 アルピーヌA470・ギブソン(N.ラピエール/A.ネグラオ/P.ティリエ組)+44.398
・LMP-GTEプロ
1.No.92 ポルシェ911RSR(M.クリステンセン/K.エストレ組)207L
2.No.82 BMW M8 GTE(T.ブロンクビスト/A.F.ダ・コスタ組)+12.186
3.No.67 Ford GT(A.プリオール/H.ティンクネル組)+25.242
・LMP-GTEアマ
1.No.56 ポルシェ911 RSR(J.ベルグマイスター/P.リンゼイ・E.ペルフィッティ組)201L
2.No.88 ポルシェ911 RSR(星野聡/G.ローダ/M.カイローリ組)+19.938
3.No.90 アストンマーティンバンテージ(S.ヨルック/J.アダム/C.イーストウッド組)+28.434