第86回ル・マン24時間レース、公開車検を終える
6月10、11日、フランスのル・マン市街地において、第86回ル・マン24時間耐久レースの公開車検が実施された。2日間ともあいにくの天気となり、時折強い雨になることもあったが、伝統レースを知るたくさんの熱心なファンが、今年も会場に足を運んでいた。その様子をお伝えする。
・ルーキードライバー、ジェンソン
今シーズンは、日本のSUPER GTにフル参戦中の元F1チャンピオン、ジェンソン・バトン。意外にも取り巻くプレス陣もさほど多くなく、肩透かしをくらった感じに…。一方、当の本人はとってもリラックスしており、初ル・マンを楽しんでいるとのこと。目下、SUPER GTで”学習中”のオーバーテイクのテクニックをこのル・マンで発揮できるのか!?
・ノンハイブリッドで総合優勝なるか!?
アウディ、ポルシェと参戦チームの撤退に合わせ、チーム移籍が続くのは、アンドレ・ロッテラー。今年は日本でのレース活動もなく、日本のファンにとっては少々さみしい状態ではあるが、車検場では相変わらず素敵な笑顔を見せてくれた。「ノンハイブリッド車での優勝のチャンス!? うーん、トヨタが速すぎるから難しいんじゃないかな。だけど、向こう(のチーム)にはチャンピオン経験者がいないし、僕らは優勝経験もある(自身とニール・ジャニ)からね」とニヤリ。終わってみるまでわからない耐久レースならではの可能性に期待を寄せていた。
・トリプルクラウンにリーチ
世界3大レースと呼ばれるF1モナコGP、インディ500、ル・マン24時間レース。そのうち、モナコGPとインディ500を制しているファン・パブロ・モントーヤがル・マンにお目見え。仮にル・マンでの勝利が達成すれば、史上ふたり目となるトリプルクラウンが実現する。以前、ポルシェのLMP1カーをテストした経験があるものの、レース自体はデビュー戦となる。参戦クラスがLPM2(ユナイテッド・オートスポーツ)になるため総合優勝へのハードルは高いだろうが、今年のLMP1クラスが混沌としている分、展開次第では…という夢も広がる。
・悲願達成なるか!?
一昨年にはアウディが卒業し、去年をもってポルシェが撤退…。今やル・マン24時間レースのLMP1クラスに参戦するメーカーはトヨタ1社となってしまった。だからこそ、総合優勝を果たさなければならないプレッシャーの中、2台のTS050HYBRIDはどのような戦いを見せてくれるのか。
・雨が心配でしたが…
公開車検の2日間は雨が降ったり止んだり、なんとも落ち着かない天候が続いたが、トヨタが恒例の集合写真を撮影するときには日差しが少し顔を出しはじめており、無事に作業が終了した。一方、ドライバーは近くに詰めかけていたファンへのサインや写真撮影に興じており、その中にはアロンソの姿も。
お祭りモードの序章を経て、いよいよ本格的なセッション開始となるル・マン。走行セッションのない火曜日は、コース上で出場ドライバーの集合写真撮影が行われた。実走行は現地時間(日本との時差hは7時間)の水曜日の午後4時から。まずは4時間の練習走行を迎える。
PHOTO&TEXT : MOTOKO SHIMAMURA