伝説のLand Cruiser を未知の世界へ

2,000馬力のトヨタ ランド クルーザーなんて誰もいらなかった。最高速370kmhも誰も頼んでいなかった。

だからこそトヨタのモータースポーツ テクニカル センター(MTC)がそのモンスター マシンを作り、Sema Show でデビューさせるまではその必要性が理解できなかった。

トヨタのスタッフはこの車をランド クルーザーではなく、「ランド スピード クルーザー」と呼んでいる。一般のSema Showデモカー作成とも違う。作成期間は数週間ではなく、数年がかりだった。

この車はちゃんと走り、厳しいテスト開発を終えてきた。Gardner Automotive Communications 社の代表Dan Gardner によると、「このランド スピード クルーザーの目標はとても分かりやすかった。最高速354kmh (220mph) だった。」

プロジェクトが始まってから2年が経ち、その目標を10mph上回った。

世界最速SUVはカリフォルニア州のMojave 砂漠にある空港ランウェイで誕生した。ドライバーはGrand AM Rolex GT Champion Craig Stanton と元Toyota NASCAR ドライバーCarl Edwards 。

Stanton氏が先にSUVを走らせ、198mphまで持っていった。次はEdwards。恐怖を知る211mphまでスピード上げたが、重いSUVを止めるための路面がなくなり、やむを得ずスピード ダウン。

次の走行ではブーストとパワーを上げ、再挑戦。

今までにない結果が出た。その時、ランド スピード クルーザーは信じられない230mph を記録したのだ。

「225mphでは車が少しふらついていた。その時は何があってもアクセルを押し続けろ、というCraigのコメントを思い出し、230mphの記録が出た。」とEdwardsが語った。

ランド スピード クルーザーのチューニングすべてはあの220マイルの目標を達成するためだった。2,000馬力のエンジン パワーもただの偶然ではない。MTC Chuck Wade, Sam Puleri, Rich Garver, Marty Schwerter の線密な計算により決まった数字だ。6,000ポンドの車重と、あまりにもひどい空力にはそれぐらいが必要だったと言う。

しかしこの車は何故複雑なエアロがついてないのか?と思う人もいるかもしれないが、6,000ポンドの重さを持っていれば充分なダウンフォースを得られるからだ。
「カーボンファイバーのアンダー トレイ等、派手なエアロは必要ないとチームメンバーが決めた。」 とGardner が説明した。これで車の作業も楽であった。

使用したエアロはさりげないフロント スポイラーとリヤディフューザー。あとはサイド ミラーを外しただけだ。「高速電車みたいな走りをするから、自然にダンフォースを作り上げ、安定して走れる。」とGardner がいう。

8人乗りのSUVに2,000馬力V8を乗せるのは邪道だと思うかもしれないが、実際そうである。しかしToyota MTCは邪道な企画には慣れている。

一般と同じ3UR-FE エンジンには巨大なGarrett製タービンが両サイドに取りつけられDarton製スリーブ ライナーをブロックに入れ、強度を上げている。そこに鍛造クランク、鍛造ピストンとコンロッドを組みあわせ、6.2リッターの排気量を設けている。ブーストは55psi に設定し、James Lin のMotec M800 セッティングで2,000馬力が可能となった。

ランド クルーザーのトップ スピードは普通130mph。これ以上狙うには足回りと車高の変更が不可欠だ。しかし、もともと車高の高いランドクルーザーを低くするにはダンパー交換だけでは無理であり、シビックの様にはいかない。

MTC の職員たちは計画的にシャーシーを切り、場所によって強化し、車高下げた時のクリアランスを最大限に確保した。足回りのジオメトリーを変えずに大きいホイールとタイヤのスペースを作った。

Fox Shox ダンパーとEibach スプリングでランド スピード クルーザーの車高を大胆に下げた。ルックスだけではなく機能性もバッチリだ。フロント側の抵抗も減らし、エアロダイナミック スタンスを向上させ、重心を下げることによって230mphでの安定さを現実させている。

ランドクルーザーはどこにでも行ける車として世界中で認められている。当初は軍用の車として使われ、今では主婦や医者も乗っている。こんな歴史もあり、世界中から愛用されている車に未知の世界はあるのか?と聞かれれば、それは230.02mph と答えるしかない。
2016 TOYOTA LAND CRUISER

オーナー:           Toyota

出身地:  Plano, TX

職業:     Helping us go places

パワー:   2,000 hp (approx.)

エンジン: 6.2L 3UR-FE エンジン; JE Pistons社 2618鍛造ピストン ; Oliver 社4340E コンロッド; カスタム鍛造ストローカー　クランク シャフト; Darton 社　シリンダー　スリーブ　ライナー; Port Flow Design社  ・Bullet Fabrication社　シリンダー ヘッド＆バルブ系; Web Cams 社カムシャフト; カスタム MTCI 、 K&N 社エア インテーク; Nick Williams Performance社 スロットル ボディー ; カスタム　インマニ; Garrett 社GTX4718R タービン (2); カスタムMTCI 社 インタークーラー; Turbosmart 社Pro-Gate 50 ウェースト ゲート、Race Port 社 ブロー オフ バルブ; MTCI 社,

Borla社 カスタム エキマニ,フロント パイプ、マフラー ; Precision Turbo and Engine社インジェクター (16); AEM 社 インタンク 燃料ポンプ (2); Waterman Racing Components社 メカニカル 燃料ポンプ; NGK 社 スパーク プラグ; AEM社 イ グニッション コイル ; Optima 社 バッテリー; カスタム MTCI 社 ラジエーター; ATI 社Super Damper クランクシャフトプーリー; カスタムドライ サンプ オイル システム

駆動系:  ギヤ- ホイール ドライブ コンバージョン; ATI 社Racing Turbo 400 ミッション; Gear Vendor 社 オーバー ドライブ

ECU:     MoTeC M800 ECU

足回り・シャーシー:            Fox Shox 社 ダンパー; Eibach 社 スプリング

ホイール・タイヤ:   20×11.5″ Momo 社 ホイール; 315/35R20 Michelin社 Pilot Super Sport タイヤ

ブレーキ:            TBM社 ローター、ブレーキ パッド

外装:     MTCI 社板金加工; Ray Newton社塗料 paint; カスタム フロント スポイラー, リヤウィッカー ビル、リヤ ディフューザー

http://www.superstreetonline.com/features/2016-toyota-land-cruiser-the-230mph-brick/