GTNETニュース :大阪にあったEVバスの”その後”

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大阪にあったEVバスの”その後”

コラム

(2026/07/30)

昨年、春から秋にかけて大阪を賑わせた「大阪・関西万博」。そのイベントのキャラクターの人気は今もなお健在で、モニュメントが大阪各地を巡回し、再会を楽しむ人が絶えない。また関連の公式グッズも強い人気を誇りオフィシャルストアの集客も好調だという。その一方で、トラブルによる”退場”となったのがEVバス。今年5月には長らく留め置かれていた場所から移送され、ようやく終結を迎えたのだが…。

・大阪メトロが購入したのは190台
昨年9月に惜しまれつつ大阪・関西万博が終了。会期中利用されていたEVバスはその後、大阪市城東区のとある場所にズラリと留め置かれていた。来場者の足として活用するために大阪メトロは150台のEV大型および小型バスを購入。会期中も、現場で不具合が発生していたというが、大きな事故に繋がらなかったのは不幸中の幸いだったといえる。

当初、大阪メトロでは、イベント終了後に「万博のレガシー(遺産)」として大阪市内を走らせる予定だったが、期せずしてこれらEVバスの活用法について再考せざるをえない状態となってしまう。というのも万博の期間中だけで832件もの不具合が発生してしまったからだ。会場を走行する150台に加え、同社はオンデマンドバス用に超小型バス40台も購入していたが、接触事故などが起きており、継続して走行することが極めて困難になったことになる。万博閉幕後は、国土交通省が同社に道路運送車両法に基づいた立ち入り検査を実施。加えて、販売会社が一部車両に対し、国交省にリコールが届けられた。まさに、”弱り目に祟り目”の状態に対し、大阪メトロは使用中止を決定。結果として同社が所有する城東区の敷地内に計190台が野ざらし状態で放置され、SNS上では”EVバスの墓場”などと言われるようになってしまった。

販売したのは、EVモーターズ・ジャパン(EVMJ)。中国製のEVバスを日本国内向けに販売したものだが、「導入時に国、大阪府・市からの40億円以上の補助金を活用する際、最も条件が合うのが同社だった」と大阪メトロ側は説明した。購入の経緯で「EVモーターズ・ジャパン社が設計して中国でモノを造り、その架装を日本でしているという製造過程であろうということは認識していた」と言われているが、実際は中国製だったということが問題視されており、今年3月に大阪メトロはEVMJに対して契約解除を通知した上で、購入代金の返還を求めた。だが、EVMJ側は、「契約の解除は法的な根拠を欠くものであり、認められない」と回答しており、加えて民事再生手続を申請する事態となった。

・使用を断念し、大きな損失を被ることに
大阪メトロではEVバスの購入に計90億円以上をかけたとしている。だが、結果として全190台すべてを使用断念。結果として、およそ67億円の関連損失を計上する事態へと追い込まれた。大阪メトロでは損害賠償を検討していたが、EVMJの民事再生法手続きが受理されており、返還や賠償の可能性は極めて低いという。

万博の開幕に合わせ、慎重に精査することもなく安易な判断だったとも言われかねない状態に追い込まれた大阪メトロ。一部報道では、すでにEVで実績のあるBYD製のバスを導入する計画もあったと伝わるが、大阪メトロが「国内製造のEVバス」にこだわり、実績のないEVMJのセールストークに惑わされと疑われても仕方ないように思う。当然のことながら、安全リスクの認識が甘く、不十分な応対でゴーサインを出した責任は大きい。掲げた目標設定実現のため、軽視したとばっちりが大きな損失を生むことになってしまったといえる。

走る機会を失った150台のEVバスは、本格的な夏を迎える前に連日大型のトラックの荷台に積まれ、大阪から300キロ以上離れた、富山県高岡市に移送された。搬送先は鉄道やバスといった大型車両の解体・リサイクルを手がける富山県内の業者だというが、詳細は公開していない。一方、超小型バスの40台は、別の場所で保管を続けるという。

本来であれば、万博終了後に、レガシーとして大阪の街なかを走るEVバスの姿があったはずだが、それも今となっては”夢ものがたり”になっている。

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