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コラム
(2026/02/27)電気自動車(EV)の”はしり”としてEV業界を牽引してきたアメリカのテスラが注力分野をシフトしはじめたそうだ。次なるターゲットはロボットや自動運転といった、いわゆるAI(人工知能)関連だという。もともとEVから創業した会社ではあるが、エネルギー企業としても知られるだけに、今後のビジネス展開におけるEVの”立ち位置”はどう変化していくのか?
・スタートはEV
2003年、アメリカ・アメリカ合衆国デラウェア州で起業したテスラ。当時の社名はテスラモーターズ。つまり、EVメーカーとして第一歩を踏み出したのだ。この創業にあたり、資金の多くを提供した人物がイーロン・マスクであり、もともとの創業者ではない。あくまでも出資者のひとりとして企業に関わっていたことになる。だが、2008年からCEOを務めるようになると、”テスラ=イーロン・マスク”というイメージが先行。EV製造に特化せず、太陽光発電によって得られる持続可能な輸送、エネルギーへの移行の促進にも着目するようになった。
テスラ・ロードスターは、テスラモーターズが最初に世に送り出したEV。まず、ロータス・エリーゼをベースにEV化したものからスタートし、2010年には初めて日本へロードスターを導入するに至った。その後、モデルS、モデル3などオリジナルのEVをリリースし、低価格を実現させたモデル3の発売を機に、EVの先駆者としての立場を括弧たるものにしたといえる。
そんななか、今年1月末に現在もCEOの職にあるマスク氏は、決算説明会の場で、同社として初めて年間売上高の減少を発表。近年は、中国の基幹産業になりつつある中国産EVの台頭もあり、他のEVメーカーが苦戦している”勢力図”を意識せざるを得ない状況ではあるが、マスク氏は同時にこの席において、高級車であるモデルSおよびクロスオーバーSUVタイプであるモデルXの2車種について、生産終了を発表した。
・EVからロボットへ!?
説明会でマスク氏が口にしたのは、EVからの変換だった。「目標に向けてテスラの使命を更新することは理にかなっている」と語り、生産を終える工場で、新たにヒト型ロボットの「Optimus(オプティマス)」を生産することを明らかにした。同社によると、このOptimusは二足歩行可能なロボットであり、人に変わり危険を伴う作業や繰り返しの作業ができるとしている。また、今後の長期的な展開として、これまでモデルS、Xを製造してきたカリフォルニア州フリーモントの工場において年間100万台を製造する見通しであると明らかにしている。
さらに、マスク氏はこのヒト型ロボットの製造に加え、自動運転のロボタクシー「Cybercab(サイバーキャブ)」などのAIを活用した技術に投資を集中させると言われている。ロボタクシーは今年4月までに生産を開始する意向があるとし、現時点でオースティンで限定的なテストを実施する同社のロボタクシーサービスを支える中核にしたいとした。
この動きを見て、同社の事業展開の背景にあるのはEVの伸び悩みであるという声も聞こえてくる。アメリカでは現在のトランプ政権がEV補助を撤廃したことを受け、打ち上げ台数が落ち込んでいる。その流れもあり、昨年の世界販売台数は前年からおよそ9%近く減少しただけでなく、ついには売上台数で中国のBYDへとナンバーワンの座を明け渡している。
今なおテスラの母体ともいえるEVにおいて生産を終える2車種は、どちらかといえば”主力外”に該当する。とはいえEVメーカーとしてスタートした企業が、その屋台骨ともいえるEV製造を先細りさせることへのイメージ低下は否めない。果たして、テスラはこの先もEVを製造していくのかどうか。ユニークなビジネス手腕で世界を驚かせるマスク氏の描く今後に注目したい。