エンジン、ハンドリング、内装の性能と質感がさらに進化したGT-Rの最新モデル
日産自動車は、R35GT-Rに年次改良を施した第三世代「2013年モデル」を発表し、2012年11月19日より発売開始した。今回のモデルチェンジは「パワースペックや外観」に変更はないが、エンジン・サスペンション・ボディ各部にニュルブルクリンク24時間レース参戦で培った改良を実施。エンジンの中域トルク向上と高回転域の伸び、ステアリングレスポンスの向上と高速安定性・乗り心地の向上、内装質感を向上させるなどGT-Rの性能と魅力を進化させた。
最新のGT-Rが最良のGT-R! ニュルブルクリンクベストタイムは歴代最高タイムを記録
GT-R 2013年モデルの特徴は、パワースペックや外装が2012年モデルとまったく変わらないこと。最高出力550ps(6400rpm)、最大トルク64.5kgfm(3200〜5800rpm)に変更なく、過去のモデルチェンジで注目を集めた2011年モデル(前モデル比45psアップ)や同じく20psアップを果たした2012年モデルに比べて“数値上のインパクト”は乏しい。
しかし、2012年モデルの0-100km/h加速タイムは2秒7、ニュルブルクリンクにおけるベストタイムは、実測タイム7分19秒1を記録。データロガーを解析すると前走車をパスした時にアクセルを抜いた形跡があり、仮にアクセルを全開にしていれば「7分18秒6の性能を有する」とメーカーは判断し、公式タイムとして公表。このあたりの解釈はユーザーにゆだねることにしよう。
パワースペックに表れない進化は、メーカー開発チーム自身がニュルブルクリンク24時間レースに参戦し、実戦で培った技術が市販車用にアレンジされ生かされている。エンジンは、高出力対応かつ高精度で燃料噴射可能なインジェクターに変更し、ターボの過給バイパスに専用オリフィスを設けることで、中回転域のレスポンスにトルクが加わり、息の長い高回転域の伸びを実現した。
実働ロールセンターを低く設定し、鋭い旋回性と路面に張り付く高速安定性を実現
ハンドリングに関する変更は、ボディ剛性の強化、ダンパー、スプリング、フロントスタビライザーの仕様が変更され、同時に実働ロールセンターを低く設定したサスペンションジオメトリーに変更された。この改良により、内輪の仕事量を増加させ、より低重心でロールさせることによりクルマの動きが少なくステアリングレスポンスが向上し、路面に張り付くような超高速域の走行安定性を実現した。乗り心地についても前モデルより改善されたようだ。
プレミアムエディションにアンバーレッドの特別内装をOPT設定
インテリアは、プレミアムエディションにアンバーレッドの内装(ファッショナブルインテリア 44万1000円)をオプションとして新設。セミアニリンの最上級本革を採用し、シートパターンも新設計することにより体のフィット感とコーナリング時のサポート性能を向上した。ステッチについても新型ミシンを導入し、ハンドメイドで仕上げることで高品位な室内空間を演出する。
車両本体価格は、ピュアエディションが約6万円、他モデルは約16万円UP
車両価格は、ピュアエディション(車両本体価格875万7000円)からエゴイスト(車両本体価格1516万8300円)まで。ピュアエディションの価格は、2012年の同モデルに比べて約6万円、それ以外のモデルは16万円ほど値上がりした。ボディカラーは合計6色設定され、特別塗装色のオーロラフレアブルーパール、メテオフレークブラックパール、ブリリアントホワイトパールは4万2000円アップ、アルティメイトメタルシルバーは31万5000円アップする。
R35 GT-R タイムの進化
モデル | ニュルブリクリンク ベストタイム | 0-100km/h加速 |
2007年モデル | 7分38秒 | 3秒6 |
2009年モデル | 7分29秒 | 3秒6 |
2011年モデル | 7分24秒 | 3秒0 |
2012年モデル | 7分21秒 | 2秒8 |
2013年モデル | 7分18秒(実測7分19秒) | 2秒7 |
R35 GT-R 2013年モデル グレード別価格表
グレード | エンジン | 駆動方式 | 変速機 | メーカー希望小売価格(税込) |
GT-R Pure edition | VR38DETT | 4WD | GR6型デュアルクラッチ トランスミッション |
875万7000円 |
GT-R Black edition | VR38DETT | 4WD | GR6型デュアルクラッチ トランスミッション |
963万9000円 |
GT-R Premium edition | VR38DETT | 4WD | GR6型デュアルクラッチ トランスミッション |
978万6000円 |
GT-R EGOIST | VR38DETT | 4WD | GR6型デュアルクラッチ トランスミッション |
1516万8300円 |
GT-R Pure editionにFor TRACK PACKを設定
パッケージ | 装着パーツ | メーカー希望小売価格(税込) |
For TRACK PACK 基本セット | ●カーボン製クラスターフィニッシャー(For TRACK PACKエンブレム付) ●ルーフトリム/サンバイザー色:ブラック ●For TRACK PACK専用ハイグリップファブリック・本革コンビシート ●リヤシートレス(キルティングクロスマット付) ●カーボン製エアダクト付フロントスポイラー ●フェンダープロテクター ●レイズ製アルミ軽量鍛造ホイール(ブラッククォーツクロームカラーコート) ●ブレーキ冷却用エアガイド(フロント、リヤ) |
60万9000円 |
For TRACK PACK 専用サスペンション付 |
基本セット +For TRACK PACK専用サスペンション |
147万円 |
For TRACK PACK チタン合金製マフラー ドライカーボン製リヤスポイラー付 |
基本セット +For TRACK PACK専用チタン合金製マフラー +ドライカーボン製リヤスポイラー |
220万9200円 |
For TRACK PACK 専用サスペンション付 チタン合金製マフラー ドライカーボン製リヤスポイラー付 |
基本セット +For TRACK PACK専用サスペンション +For TRACK PACK専用チタン合金製マフラー +ドライカーボン製リヤスポイラー |
307万200円 |
ボディカラー
R35 GT-R 2013年モデルのおもな変更点
エンジン
●高精度制御&高出力対応インジェクター採用。
●ターボの過給バイパスに専用オリフィスを追加装着し、過給圧の急激な低下を抑制し、高回転域の伸びを実現。
●オイルパンに新型バッフルプレートを追加し、サーキット走行時に安定した油圧を確保。オイルパン内のフリクションロスを低減。
●高性能オイル「MOTUL製COMPETITION OIL」をディーラーオプションとして設定。
シャシー
●実働ロールセンターを解析し、タイヤやブッシュのたわみを考慮した低ロールセンターに設定。ダンパー、スプリング、フロントスタビライザーを仕様変更。
●フロントサスペンションにキャンバー調整カムボルトを採用。アライメントの調整精度及び整備性を向上。
●ドライブシャフト〜ハブベアリングの締結トルクを高め、高負荷時の耐久性を向上。
ボディ
●ダッシュパネルバー2ヵ所、インストメンバー部にレインフォースを追加。ボディ剛性を向上させ、サスペンション性能を向上。
インテリア
Pure edition
●ステッチ色を変更。ドアトリムやインストパッドの縫い目のピッチを拡大することで、インテリアの質感を向上。
Black edition
●ブラック&レッドのコンビネーションステアリングを装備。
●RECARO製カーボンバケットシートをメーカーオプション設定。
Premium edition
●ブラックとアンバーレッドの2トーンカラーのファッショナブルインテリアをオプション設定(44万1000円)。
●本革本来の風合いと柔らかさを備えたセミアニリン本革、ハンドメイドのシートを前席に採用。
仕様&装備
全グレード
●サイドノブを前席左右に装備し、シートバック時の使い勝手を向上。
Black edition
●ドライカーボン製リヤスポイラーとレイズ製アルミ軽量鍛造ホイールをセットでメーカーオプション設定(75万6000円)。
Black edition、Premium edition
●バックビューモニターを標準装備。
R35 GT-Rスペック
全長/全幅/全高 | 4670mm/1895mm/1370mm |
ホイールベース | 2780mm |
トレッド前/後 | 1590mm/1600mm |
最低地上高 | 110mm |
車両重量 | 1730kg |
乗車定員 | 4名 |
車両総重量 | 1950kg |
燃料消費率 | 8.7km/L |
総排気量 | 3.799L |
最高出力 | 404(550)/6400(kW(PS)/rpm) |
最大トルク | 632(64.5)/3200-5800(N・m(kgf・m)/rpm) |
使用燃料・タンク容量 | 無鉛プレミアムガソリン・74L |
タイヤ前・後 | 255/40ZRF20(97Y)・285/35ZRF20(100Y) |
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