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日産が12年ぶりにZクーペのモデルチェンジを発表した。アメリカのスポーツカー市場は、復活したトヨタスープラと、V8エンジンをミッドシップへ大きく変更したコルベットがデビューしたばかりだ。新しい400Zへの期待感も大きく盛り上がっている。 詳細が公開され、400ZにはツインターボV-6と6速マニュアルトランスミッションが搭載されることが分かった。 勿論、タッチスクリーンのエンターテイメントや、デジタルディスプレイ、運転支援機能などの最新のテクノロジーが搭載される。前世代の370Zは、価格と性能においてマツダMX-5やトヨタ86などのより手頃なスポーツカーに対抗してきた。この次世代400Zは価格は未定だが、多くのアメリカのメディアの予想では、ベース価格は45,000ドル前後。ステージを1つ上げて、コルベット(59,999ドル)、スープラ3.0ℓ(50,999ドル) と同じ市場がターゲットとなる。
エンジンは、日産GT-Rのようにツインターボチャージャー付きのV-6を搭載することが予想されるが、GT-Rの565馬力の3.8リットルの代わりに、おそらくインフィニティQ60(日本では日産スカイライン)から300馬力の3.0リットルのエンジンを流用する。 高性能のNISMOバージョンがあれば、現在Q60 Red Sport400クーペ(日本未発売)専用の400馬力バージョンのエンジンを搭載する可能性もある。インフィニティでは4WDの設定があるが、日産はFRのみに拘るかもしれない。前述のライバル車は、コルベット(6.2ℓ V8エンジン、490馬力)と、スープラ(3.0ℓツインターボ直列6気筒、335~382馬力)となっている。そしてトランスミッションは、6速マニュアルトランスミッションが標準装備となっている。7速ATもオプションで提供される予定だ。マニュアルトランスミッションは、近年減少傾向にありつつも、アメリカにも一定数のファンが存在する。マツダMX-5やトヨタ86、ホンダCivic Type-Rなど、いわゆるスポーツコンパクトと呼ばれるような4気筒エンジンのステージには未だに多くの選択肢があるが、コルベットとスープラには設定が無い。伝統のZがマニュアルを継続するのは多くのファンが期待していたニュースだろう。
燃費に関しては、EPA(米国環境保護庁)の、正式な見積もり発表はまだだが、インフィニティQ60をベースに考えると、1ガロン当たり(市街地:高速道路)20/28 マイル程度だ。これは、コルベットの15/27よりも高く、比較的軽量であるスープラの22/30の間に入る平均的な数値となる。もっとも、広大なアメリカでの移動はフリーウェー(無料の高速道路)がかなり一般的であり、大型エンジンのピックアップトラックがまだまだ多くの人の日常の足であるアメリカでは、これらの数値は及第点と言えるだろう。かつてアメ車を代表するマスタングがベースモデルのV6を廃止して流行りのダウンサイジングターボとEVモデルをラインナップし。テスラやポルシェタイカンの様なスポーティーなEVが存在する現在、企業と消費者にとって、スポーツカーも燃費性能は重要な要因の1つだ。
そしてプロトタイプの発表で一番話題を呼んだのはやはりデザインだ。まず目に入るのは240Zと280Zを思わせるほぼ円形のヘッドライト、300ZXのレトロなテールライト、240Zのフードの膨らみ、伝統的な2人乗りクーペのルーフが描くカーブ、フェアレディバッジなど、散りばめられたレトロなディテールは、Datsun世代のファンの心を揺さぶる事はまず間違いない。 レトロな伝統デザインを継承した上で、モダンなトレンドや最新テクノロジーが上手く融合されている。LEDのデイタイムランニングライトや19インチのホイールにビッグブレーキ。運転席にはデジタルディスプレイが並ぶ。現行モデルの370Zは、2021年モデル車両としては珍しくタッチパネルのインフォテインメントが装備されていなかった為。以前からアップデートを期待する声があった。価格によっては、更なるコンフォートとラグジュアリーな要素も求められるだろう。革張り、電動シート、シートヒーター、自動温度調節機能付きエアコンはもちろん、歩行者検知付きの自動緊急ブレーキ、車線維持支援付きのLDW(車線逸脱警報)、自動運転、など最新の運転支援機能にも期待したい。
トヨタ市販車としては歴代最小径(362mm)の真円ステアリングホイール(GT、GT Limitedは本革、Gはウレタン製)を標準装備。3連式のコンビネーションメーターは、中央に配置されたタコメーターの最大出力付近(7,000回転)が真上になるよう仕様変更された。左側には260/kmスケールのスピードメーター、右側には新たに4.2インチ・マルチインフォメーションディスプレイ(GT、GT Limitedに標準装備)が採用され「水温・油温・電圧、ハンドル操作量、アクセル開度、ブレーキ踏力、Gメーター、ストップウォッチ」などをリアルタイムに表示する。内装は、全グレードともブラックを基調とし、ファブリックの材質で差別化を図る。GT Limitedは、本革×アルカンターラのブラック、レッド&ブラックの他に新色のタン&ブラックが加わり、ラグジュアリーな雰囲気が選択できるようになった。