「一体どこまで上がるの?」と不安になるぐらい、日々値上げの続いているガソリン価格。ニュースなどでの先行き予想を聞いていても、このままじゃ1リッター200円時代ってな驚き価格も現実になりそうな雰囲気だ。
さて、最近じゃ「燃料タンクに入れるだけで、燃費が●km/リッター向上!」なんてアイテムもたくさん販売されているけど、効果があるのかどうかわからないオカルトグッズも多いのが実情。数千円、いや数万円程度で燃費が向上するなら自動車メーカーが採用しているだろうし、あまりに金額の高いアイテムだと「元を取るのにどれだけ走らなければならないの?」なんて場合だってあるよね。
そこで、ドライビングレッスン開催などで快適カーライフをサポートしているGTNETでは「愛車&ドライビングスタイルを最適化してのECOドライブ」を強く推奨することにした。取り組み方としては、燃費向上につながる愛車のECOセッティング、そして燃料消費を抑えるECOドライビングの実現だ。
もちろん、難しく考えなくても手軽に始められることばかりなので、以下のECOポイントを積極的に実践してみよう。すべてをパーフェクトにこなせば……、燃費の大幅向上だって夢じゃないぞ!!


意外かもしれないが、前述の荷物量と同じ考え方で重要な燃費向上ポイントがガソリンの給油量。というのも、タンク内のガソリン量が多いほどクルマが重い=荷物を積んでいる燃費悪化、ということになるからだ。なので、ガソリンは高速道路を使ったロングドライブでもない限り、タンク半分程度にしておくのがベストになる。ちなみに、「満タン給油しておかないと結露でタンク内に水が溜まる」というウワサは気にしなくても大丈夫。少量の水ならガソリンとともに燃焼するので、水抜き材も不要だ。ただし、スポーツ走行をするユーザーの場合は、コーナリングGでタンク内のガソリン偏りによる燃欠症状が起きることもあるので注意しよう。
給油時はついつい満タンにしてしまいがちだが、ガソリンスタンドのない山間部などを走る時でもない限りは15~20リッターの給油で愛車を軽くしよう。燃欠症状が心配ならコレクタータンクを装着する手段もあり。
手っ取り早く燃費を向上させるのに最適な手段が、クルマに積んでいる不要な荷物を減らすこと。最近では収納スペースの広いクルマが多いので、ついつい荷物を色々と入れたままにしがちだけど、実はこれが燃費低下のもとになる。わかりやすくイメージするなら、荷物をたくさん積んだ自転車に乗っているシーンを思い浮かべよう。ペダルを動かす力がたくさん必要になる=体力が必要、つまりクルマでもガソリンがたくさん必要というワケだ。スペアタイヤの代わりにパンク修理材を搭載する、また重量のある純正シートを軽量なバケットタイプにする、さらには重量物のホイールを軽量ホイールに変更するなんてのもECOセッティングとして有効な手段だぞ。
トランク内にはついつい洗車道具など使用頻度が少ない物も積んでしまいがち。不要な荷物は極力減らしておく方が燃費やクルマの動きに良く、スポーツ走行時に荷物が暴れないというメリットもある。
ターボなら10W-50、NAなら10W-40がベスト……などと言われているエンジンオイルだが、実はここでもECOセッティングが可能! というのも、サーキット走行などでオイルが高温にならないのなら、常温域で粘度の低い0W-30などのオイルを使用することでエンジンがスムーズに動き、燃費向上&レスポンスの良い吹け上がりが手に入れられるからだ。最近ではHKSやトラストといったチューニングメーカーから油膜保持などに配慮した低粘度オイルもリリースされているので、一度使ってみてはどうだろう?もちろん、LSDオイルなどのギヤオイル系も同様の考え方が通用するので、一度使っているオイルの粘度を見直してみて欲しい。なお、スポーツ走行メインのユーザーなら、油温が上昇するまでスロー走行するだけでも燃費が変わることを覚えておこう。
冷間時にオイルを触ってみるとわかるが、まとわりつくような抵抗を感じるだろう。これはエンジン内部でも同じ。クーリングチューンで油温が適正位置にあれば、熱影響の大きいターボ車でも粘度を下げてOKだ!
クルマが唯一地面と接触している部分がタイヤ。これまた自転車に置き換えて考えるとわかりやすいが、空気圧が少なければタイヤの接地面積が増えてペダルを動かす力が必要(燃費悪化)となり、空気圧が高ければタイヤの接地面積が減ってペダルを動かす力は少なく(燃費向上)なる。なので、ドア付近に記されているメーカー指定の空気圧を基準にして、+0.3km/cm3ほど高めておくといいだろう。なお、空気圧を高めると低抵抗となるかわりに接地面積が減ることからグリップ力が若干犠牲となる。ステアフィールは軽快だが、普段と同じ間隔でコーナーを曲がろうとすれば挙動が乱れることもあるので注意したい。ちなみに、空気は高速走行などで温度変化による圧力上昇が生じるので、温度による圧力変化の少ない窒素ガスを注入しておくと安心だ。
エアが高いほど走行抵抗が減り、燃費は向上する。ただし、過度にエア充填すると、トレッド中央のみの摩耗などのデメリットも生じるので+0.3km/cm3までにとどめたい。窒素ガスを充填しておけば温度影響が少なく、エア圧管理もイージーだ。
様々な乗り方を想定して安全マージンたっぷりのセッティングとなっているノーマルコンピュータ。コンピュータチューンはパワー追求で燃費悪化のもとと思われがちだが、セッティングによってはノーマルよりも燃費が向上するケースも多い。これはマージン確保の観点からガソリン噴射量が無駄に多くなっている部分をコンピュータチューンで最適化しているため。もちろんパワーを出すために燃料増量している部分もあるので、中~高回転を多用するスポーツ走行オンリーだと燃費は悪くなるが、市街地走行や高速でのクルージングなら無駄なガソリン噴射を削っている分だけノーマル以上の燃費をマークしてくれることだって多いのだ。燃費に悩むユーザーは、効果がイマイチ見えないECOグッズよりもコンピュータチューンを試してみよう♪
コンピュータチューン=パワー追求で燃費悪化と考えがちだが、燃料セッティングが適正化される、エンジン特性の最適化で無用なアクセル操作が減るといった部分で燃費向上へとつながっていくのだ。
エアロパーツ=ドレスアップ&走りアイテムというイメージは強いが、実は走行風の整流でECOパーツとしての効果も期待できる。というのも、走行風を受け流す形状であれば走りに必要となるパワーも少なくて済むので、ガソリンの消費量が抑えられるのだ。少しジャンル違いになるが、トラックに装着されている運転席と荷台間の整流板を思い出して欲しい。あのアイテムは装着するだけで荷台への走行風を受け流すことができるので、大幅燃費アップを果たせる必須ECOパーツとなっている。なので、エアロパーツはECOパーツとして注目すべき存在。車種によってはノーマルよりも軽くなるので、軽量効果での燃費向上だって見込めるぞ!
ノーマルバンパーは重量があったり、無駄な開口部が走行風を受けていたりする。なので、軽量かつ走行風の整流を考慮したエアロを装着すれば、走行抵抗が減少して燃費向上へとつながるのだ。
停止状態でエアコンをオンにしたとき、スイッチ音とともに引き上げられる回転数。これはエアコンコンプレッサーを回すために必要な力をエンジンが出しているアイドルアップと呼ばれるものだ。もちろん、エンジン回転数が上がればガソリンも消費するし、コンプレッサーを回すために力が必要となる分だけパワーロスも生じてしまう。そこで燃費向上に有効なのは、エアコンのこまめな調整。設定温度を高めにしたり、こまめにオン・オフするだけでも無駄なガソリン消費が抑えられるぞ。ちなみに、エアコンのECOセッティングとしては断熱効果の高いUVカットフィルムの施工や、潤滑性能に優れたコンプレッサーオイルの添加といった手段も有効だ。夏本番を控えた今のうちに、ぜひ取り組んでみよう。
ついつい全開や低温度にしてしまいがちなエアコンだが、上手に温度コントロールすることがECOへとつながっていく。設定温度目指して適切な風量に調整してくれるオート機能を有効に利用すればいいだろう。
ガソリン価格の高騰で、行列が出来る激安スタンド。なにもすべての激安店がそうだとはいわないが、店によってはハイオクを入れているのにオクタン価が低い粗悪ガソリンというケースだってある。
では、オクタン価が低いとどうなるか? 大半のクルマはノッキングを起こすので、ノックセンサーがノッキングを感知。点火時期を遅らせるリタード制御が作動して、知らないうちにパワーダウンすることとなるわけだ。
ちなみに、注意したいのはパワーFCなどリタード制御を搭載しないコンピュータでチューンしているクルマや、点火時期などをシビアにセッティングしているフルチューン仕様。ガソリン価格だけに目を奪われてノッキングを起こせば、最悪はエンジンブローでの大出費になる可能性も考えられるぞ。
こうしたトラブルを未然に防ぐには、長期在庫による品質劣化の危険性が少ない繁盛店での給油、地域の平均価格を維持しているメーカー系スタンドの利用を心がけたい。

- 大型トラックを風よけに使うECOドライビングが推奨されていたりするが、視界も悪く、追突事故時の危険性も高いので避けた方がいい。同程度の燃費なら、周辺状況を把握した安定ドライブで十分カバーできるのだ。
さて、これまで紹介してきた内容を理解してもらえば、「こういう時はこうしたらいいんじゃない?」などといったオリジナルアイデアも数多く出てきたはず。そのアイデアが正解かどうか実践していくのも、楽しくECOドライブをおこなううえで重要なファクターだ。
では、ここでGTNETからそうした応用技をふたつほど提案しておこう。ただし、道路状況などによっては逆効果となるものもあるので、臨機応変かつ安全第一で使い分けてみて欲しい。
<急がば回れで燃費を稼げ>
不要なペダル操作のないスムーズな走りが燃費に影響することは説明したが、これはルートチョイスでもサポート出来る。たとえば信号や曲がり角の少ないルート、渋滞の少ないルート、アップダウンの少ないルート……といった具合だ。多少遠回りになっても、燃費のいいルートはあるはずだぞ。
<車間距離と広範囲な状況把握>
市街地などでは脇道やコンビニからの合流しようとしたクルマなどで予期せぬブレーキを踏むことも多いだろう。実はこうしたブレーキの後に不要な加速を強いられることが、燃費悪化のもととなる。車間距離を適切にとっていれば、前走車の停車にもあわてず対処でき、周辺状況も事前に把握できるので、燃費も良く安定したドライビングが可能になる。

- 日々高騰しているガソリン価格。リタード制御で気づかないことが多いものの、ノーブランドの激安スタンドや長期在庫されがちな小型スタンドでは、オクタン価に不安が残ることもあるので要注意。愛車の調子がいい行きつけスタンドを作ってもらいたい。